徳有るものは、必ず言有り。言有るものは、必ずしも徳有らず。論語 憲問
徳有る者は、必ず言有り
徳とは、人間としての道徳や徳性、善良な心や行いなどを意味します。徳のある者とは、道に従って修養し、仁・礼・義・智・忠などの徳を備えた人物です。徳のある者は、必ずよい言葉や言説を持ちます。なぜなら、内面の徳が外にあふれて言葉となって表れるからです。徳のある者は、自分の考えや感情を正しく伝えることができます。
言有る者は、必ずしも徳有らず
言とは、言葉や言説、発言や主張などを意味します。言のある者とは、よい言葉や言説を持つ人物です。しかし、言のある者が必ずしも徳のある者だとは限りません。なぜなら、口先だけでよいことを言う人や、自分の利益や欲望に基づいて言う人もいるからです。言のある者は、自分の言葉に責任を持つことができないかもしれません。
この言葉は、孔子が人間の品性や資質を評価する基準として示したものです。孔子は、徳という内面的な価値を重視しましたが、それだけではなく、それが外に現れる形である言にも注意を払いました。孔子は、徳と言の両方を備えた人物こそが理想的な人格者であると考えました。